▲▲ 2007 / 4月 ▲▲

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NO298  春の山は名ばかり。大雪になっています。

 2007/ 4/ 28(土)

    明日は寒気も抜けて春らしい好天に恵まれるという予想ですが、冷池山荘からの無線連絡によると、本日未明からの降雪はほぼ一日中降り続き、夜までに50センチ近い新雪が積もっています。吹き溜まりはもちろんそれ以上です。当然のことながら表層雪崩の発生の危険は高まるので、赤岩尾根最上部や鹿島槍東尾根上部等は注意が必要です。無理をしないで、お気をつけください。

   私は、冷池山荘の小屋開け後の4/26に10センチほどの新雪の中を赤岩尾根を下山してきましたが、こちらも雪の量は少ないですが、高千穂平の下部から主稜線まで少ないなりにしっかりと雪は着いていました。本日の大量の新雪は標高どのぐらいから上かは、わかりませんがさらに注意が必要なのは言うまでもありません。赤岩尾根は滑落事故が多いので最初から最後まで絶対に気を抜かないでください。また西沢への下降も安定していれば快適ですが、大量の降雪の後ですので表層雪崩に要注意です。今年はまだ底雪崩の心配も要るでしょう。ゴールデンウィークも本番へ入りますが、慎重な行動をお願いいたします。下部の雪の少なさと上部の大量の新雪に大きなギャップを感じるG.W入りになるかもしれませんが、まだまだ北アルプスは完全に冬山の領域にあります。


冷池山荘南側の雪庇。これでもいつもよりは小さい。

赤岩尾根の頭から赤岩尾根を俯瞰する。まっすぐに注意して下降。

赤岩の頭から、雪崩を避けて直登ルートを下山。

赤岩尾根の最上部。尾根の北側への滑落には要注意。

白樺平の上部。一瞬の光がさす。

高千穂平と赤岩尾根の白樺平へかけて。

赤岩尾根の上部の全貌。

下部では例年になく早く登山道も姿を見せていた。

赤岩尾根取り付き。西股出合。赤線が積雪期ルート。黄線が夏道。

西股出合。雪崩跡を注意して渡る。上部の夏のトンネルはまだ雪の下。

NO297   爺ヶ岳の南尾根。

 2007/ 4/ 28(土)

      先日4/24にスタッフの若い衆と入山した時の様子です。夏山同様に柏原新道を900mぐらい登った所から新道をはずれて爺ヶ岳の南尾根を忠実に尾根通しに登り、爺ヶ岳の南峰へ直登。その後は爺ヶ岳の稜線を冷池山荘へ、ほぼ夏の登山道伝いに雪面を滑落に注意しながら進みます。残雪は例年よりも相当に少ないです。雪庇の張り出しも例年の半分以下です。といってもそれなりには着いていますので、アイゼン、ピッケル等の冬山装備必携は当然のことです。

    毎年ビックリするほどの軽装で来る人が見受けられます。装備だけでなく知識や心構え等を含めて遭難予備軍の方が多多あり、最近は困惑することが度々です。南尾根は樹林帯を抜けると南峰までの間は猛烈な吹きっさらしになるので、風雨の強いときなどは、下山時のルート見失い等も含めて注意が必要です。またJPより下部の樹林帯も尾根の西側に支稜がいくつも出ているので、ガスの時などルートを見失わないように気をつけないといけません。

    今日4/28は山の上は、終日の雪降りでかなりの新雪です。様相はまた一変しているでしょう。また明日以降うまく天気が回復して春山日和が続きもすれば、またまた様相は一変するでしょう。夏山登山道とはまったく違うこの季節の登山ルートですので、あくまで自己責任にてお願いいたします。またこのルートは想像以上に時間がかかります。体力のない人は9時間以上かかっているようなときも見受けられますので、余裕をもった行程をお願いします。以前にも書いていますが、この時期に柏原新道を通って種池山荘へ行くことは、できません。


この時期は赤線の積雪期のルート。黄線は柏原新道。

下山時には赤布を見失わない。

黄色い道標も見逃さない。

JP下の雪庇は今春はとても小さい。

JPより上の雪庇上を登る。

爺ヶ岳北峰へすすむ。

中峰から北峰へ。

爺ヶ岳稜線から鹿島槍ヶ岳。

爺ヶ岳北峰から冷池への下りの樹林帯。

冷池山荘より爺ヶ岳。

※ 急告 

  申し訳ありませんが、 先般のヘリ事故の影響等で小屋開けのヘリコプターによる荷上げや一部スタッフの入山がまだできない状況です。よって今年の種池山荘のG.W営業は 完全に中止にさせていただきます。 完全閉鎖につき避難小屋もありませんので、お間違いなきように願います。

  また冷池山荘については4/29(日)から5/6(日)まで素泊りの方のみお泊りになれます。必ずご予約をお願いいたします。またテントの方へのトイレの使用やジュース、ビール等の販売はいたします。

  鹿島槍ヶ岳周辺への山行をご計画でした皆さんには大変ご面倒をおかけいたしますがご理解の程、何卒よろしくお願いを申し上げます。

経過につきましてはNO 289以降ををご覧ください。  (4月27日付け)

 NO296 G・Wの対応について

 2007/ 4/ 27(金)

  冷池山荘へ入山後、小屋の周囲の最低限の除雪ができ、最低限の窓開け等も整う目処がつきましたので、小屋の中の片付けや準備をして、4/29(日)から5/6(日)まで素泊まりの方のみ の宿泊を受けたまわります。なお種池山荘は完全閉鎖で、避難小屋もありません。何卒よろしくお願いいたします。

  残雪はかなり少なめですが、高いところは、それなりにはありますのでしっかりとした冬山装備、冬山の心構えで登ってください。25日から26日にかけての新雪は稜線で10センチほどでした。

 NO295 速報 冷池山荘へ入山

 2007/ 4/ 24(火)

 本日、スタッフが歩いて冷池山荘へ入山しました。

 GW中は冷池山荘のみ、ジュース、ビール等の飲み物販売だけいたします。

※ 急告 申し訳ありませんが、今年のG.W営業は中止にさせていただきます。

NO 293をご覧ください。       (4月22日付け)

NO294  おだやかな暖かな日は長続きしません。

 2007/ 4/ 21(土)

     4月の北アルプス山麓、大町地方は今ひとつ春らしい陽気が長続きしません。昨日は温度も上がり気持ちのいい一日でしたが、本日は最高温度は15度ぐらいまで上がって暖かい一日と言っていた昨日の予報に反して終日厚い雲におおわれた肌寒い一日でした。山の上は終日雪がパラついているような空模様です。サクラ前線はほぼ予想通りに4/15ごろに大町市街地にも到達して開花し始めたのですが、その後は肌寒い日が多くなかなか開花が進みません。市内のサクラの名所でもある大町山岳博物館前の大町公園のソメイヨシノもまだ一分咲きといったところです。大町公園から北方向へ2キロメートルほどのサクラ並木が続く“観光道路” のソメイヨシノも最も北側のほうは昨日ようやく咲き始めたところです。私もすっかり入山予定が狂ってしまい、昨日は気分転換にサクラが咲き始めた“観光道路” を散策してきました。桜並木の遠く後方、晴天の青空の下、屹立する後立山連山に思いを馳せつつ、咲き始めたサクラに少し元気づけてもらいました。今週末から週明けにかけても天気の予報は今ひとつですので、大町公園のサクラが満開を迎えるのもゴールデンウィークの直前頃になるのではないでしょうか。きっとゴールデンウィーク中いっぱいは大町市内はどこかどうかでお花見が楽しめるはずです。まだまだ市内も北部はまったくの未開花です。そのあと5月上旬には近郊の山々のヤマザクラやオオヤマザクラが咲き始め、篭川谷や鹿島谷のサクラ前線も上昇していきます。そのあとはサクラの “とりを取る” ミネザクラ(タカネザクラ)が咲きだします。登山口付近では6月上旬、はるか上方の2400m台の山小屋の周囲で咲きだすのは6月下旬から7月上旬。1月下旬の沖縄のヒカンザクラの開花から始まった、半年あまりに及ぶ日本のサクラの開花ロードにも終りが告げられます。やっぱり桜はすべてがいいですね。そしてその頃には夏山シーズンも幕開けになります。


今日4/21はまたまた雪雲に北アルプスは包まれる。

いよいよ田んぼにも水が張られ、代掻きも始まる季節。(4/20)

観光道路のもっとも北側の桜並木も開花へ。(4/20)

延長2キロにわたって北アルプスをバックに続く並木。

絵になりますね。もちろんサクラも残雪の山々も。

鹿島槍ヶ岳を背に間もなく満開へ。

いつもソメイヨシノよりは早めに咲く大黒町のシダレザクラ。

早や満開に近し。ソメイヨシノとはちがった艶やかさが。(4/20)

田んぼの畦のコブシも満開。今年は高瀬の谷は咲くかな?

農家の庭先のシバザクラもきれいですね。

今風のガーデニングより、なぜか落ちつきます。

長くもった我が家のウメもいよいよ舞い散り始めました。(4/20)

NO293  急告 申し訳ありませんが、今年のG.W営業は中止にさせていただきます。

 2007/ 4/ 20(金)

     皆さん今朝の新聞やテレビ報道でご存知かと思いますが、アカギヘリコプターには昨日国土交通省より事業改善命令が為されました。今後はより安全な運航と事故の再発防止へ向けての改善報告が提出され、運航も徐々に再開されて行くものと思われます。ヘリ会社はもちろんのこと、私ども山小屋にしてもより安全な運航に向けて細心の注意をはらっていく所存であります。

   そういう状況のなかで、すでにゴールデンウィークまでも一週間余り。現時点でも当山荘のヘリ運航予定はまだ不透明であることを鑑み、営業の可不可について、これ以上はお客様にお待ちいただけませんし、ご迷惑にもなるので結論を出させていただきたく思います。基本的にはいろいろな準備のことを考えれば、本年のゴールデンウィークの営業は誠に残念ですが、断念させていただき中止とさせていただきます。宿泊営業はいたしません。残念ですがご理解のほどよろしくお願いを申し上げます。

   なお、来週は天気の状況を見ながら、経験のある一部スタッフは歩いて入山することといたしました。ただし人数も少ないので冷池山荘のみへ入山をして、テント客の方のみに対応すべく準備をしたいと思います。除雪機が荷上げされるまではスコップのみでの除雪になりますので、ほんの数箇所の窓が開く程度ですが、トイレの使用はできるようにしたいと思っています。他にはジュース、ビールの販売のみとさせていただきます。また自炊客については、私どもが確実に入山して確実に小屋を開けられてから、可能かどうか判断させていただきますが、現時点では予約等はうけたまわりません。いずれにしましてもお天気や、4月になってからも多い降雪の状況を見ながらの入山次第です。

   また種池山荘については全く開けません。また避難小屋等もありませんのでご了承ください。今朝の信濃毎日新聞の一面にはこの時季の恒例の “涸沢ヒュッテの小屋開け入山(4/19)”  の写真記事も掲載されていました。本来なら私どもも本日の晴天の下、入山そして小屋開けの予定でしたが、今年はちょっと遅れての入山、ちょっと違った形態でのG.W 体制になりそうです。昨年の今頃には岳沢ヒュッテが雪崩で倒壊といったショッキングなニュースがありました。山の厳しい環境のなかでは想像だにしていないことが起きますが、今年も頑張ってやっていきたいと思います。

NO292 スタッフの小屋開け入山と冷池・種池山荘の営業開始が遅れるかもしれません。

 2007/ 4/ 17(火)

   皆さん今回の水晶小屋付近での、たいへん残念なヘリコプター事故はすでにご存知のことと思います。そして当ホームページでも今までにもご紹介したことがありますが、私どもの山小屋でも荷上げにアカギヘリコプターを利用して参りました。そのアカギヘリコプターは現在、運航を自粛、停止しており今後の再開等も不透明な状況にあります。今週中には国土交通省からの事業改善命令も出される方針とのことが今朝新聞に載っていました。命令が出された後にはアカギヘリコプターからの事故の再発防止策や事業改善策等の報告が国土交通省に提出され、それらの報告が適格なものと認められてからの再開になるものと思われます。まだかなり先のことと思われます。私たちも本来は今週中頃にはヘリで入山、除雪機、食料等の荷上げもする予定でしたが、現在の状況からいけば入山はかなり遅れる可能性が大きいです。入山後には山荘周囲の除雪や小屋のなかの準備に最低でも数日はかかりますので、そうなればG.Wの営業開始が遅れる可能性がありますこともご承知おきください。何卒よろし願いいたします。他のヘリ会社で対応していただくにしてもスケジュールの調整や各種申請等に時間を要するために何月何日に入山、小屋開き準備開始ということはまだ申し上げられない状態です。また入山して即、営業開始というわけにも参りません。その為本年のゴールデンウィークの営業開始についてはまったく不透明な状態です。よって現時点では当面、本年のゴールデンウィークの宿泊予約はキャンセルにさせていただき、新たなご予約もいっさいお受けしないことにさせて頂くことと決めました。直前になって皆さんにご迷惑をかけることになっては、大変に申し訳ございませんので、誠に急な話ですがこのような対応を取らせていただきます。ご理解のほど何卒よろしくお願い申し上げます。今回鹿島槍ヶ岳、爺ヶ岳周辺への山小屋利用の山行を計画されていた方は、他の山域への登山をお考え下さるようお願いを申し上げます。なお他のヘリ会社のヘリで早期に入山できて、小屋開きの準備が整えば営業いたしますが、それらの成り行きについては当ホームページの最新情報にて今後ご確認ください。また売店のみの営業やトイレの使用等についても現在はまったくの未定状態ですので、それらについても当ホームページにてご確認ください。急な話しで申し訳ございませんが、ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。また夏山については2ヶ月先のことですので、しっかりと対応させて頂きますのでご安心ください。

 P.S   このところ北アルプス北部は二日おきぐらいに雪に見舞われる日が多いです。4月15日にも針の木大雪渓の上部にて2人の登山者が雪崩に巻き込まれて重軽傷を負っています。現場付近は40センチほどの新雪があったということです。当H.PのNO290で紹介した写真の西股出合の雪崩写真にしても、4月10日過ぎの発生と思われます。底雪崩にしても表層雪崩にしてもまだまだG.Wにかけて発生してもまったく不思議でありません。残雪が少ないという情報だけが独り歩きすると、油断して大きな事故が多発する可能性がありますので十分に注意しての計画、行動をお願いいたします。        

NO291  この違いって・・・・  時代が変わると。

 2007/ 4/ 16(月)

     今日は山に関係した会議が市役所で午前と午後に二つありました。会議のあと市役所ロビーで備え付けの新聞を読みながらティーブレイク、朝日新聞を手に取りパラパラとめくると『漢字にも方言がある』 という記事が目に飛び込んできました。私は漢字の成り立ちとか日本語の云われ、松本平の方言といったものに以前から興味を持っているので早速、目を通しました。いくつかの方言というか“方字” ? が紹介されていました。新潟や山形では“潟” という漢字を“さんずい偏” プラス 写 と書く。(ちなみに、この漢字はIMEパッドに出てこなかった。) 私はこの漢字は昔から使っており、単なる略字かと思っていました。意外でした。

   もう一つすごく興味を持った漢字が“樻” という漢字。北海道の黒松内町周辺で用いられている漢字だそうです。みなさんなんと読まれますか、貴い木ってなんでしょうかね。ヒノキ(檜) でしょうか、それともサワラ、ネズコでしょうか。正解は“ブナ” です。でもブナって普通は“橅” って書きますよね。昔からブナは木質もやわらかく住宅の建築材には不向きで、他にもあまり用途がなかったので、あまり用の無い、役に立た無い木ということで橅” という漢字が当てられたと何かの本で読んだことがありました。それが今では時代も変わり、ブナの持つ保水力や治山力が天然ダムとして認識され、世界遺産の白神山地に代表されるブナの原生林は多様な生態系の源として、またブナの大木の四季の移ろいは、私たち登山者をも元気づけてくれる貴重なとても大きな存在になっています。私も今まで柏原新道沿いのブナ林や西股出合近くのブナの原生林を通過する際に、思い出すとちょっと寂しい想いをしていましたが、今日この“樻” という漢字に出逢ったことで、今までのもやもやも晴れました。みなさんもこれからはブナに出会ったら “橅” ではなく“樻”の字 をぜひ思い出してください。

   新聞の記事を読んで、いつの日か先見の明をもって、この素敵な漢字、“方字” ?をつくられた黒松内町を訪れたいと思いました。きっと素晴らしい先人たちが、素晴らしいブナの原生林を残していてくれるものと思います。それにしましても漢字ってすごいですよね。


NO290   積雪量は少なめですが、冬山には何ら変わりありません。

 2007/ 4/ 14(土)

     私どものスタッフが偵察に爺ヶ岳の南尾根を登って種池山荘まで12日に行ってきました。 積雪は例年のこの時期と比べて少なめですが、南尾根も最下部の八ツ見ベンチ付近から尾根沿いにしっかりと積雪があるとのことです。今日14日も山の上は雪模様でしたが、4月に入ってから意外と雪の舞う日が多いため、本来なら今年のように雪が少ない年は地面が出ていてもまったく不思議でない南尾根最上部や爺ヶ岳稜線もけっこう雪が付いているということでした。積雪量が多い少ないということに関係なくしっかりとした冬山装備と行動をお願いいたします。

   また別働隊は赤岩尾根の登山口まで偵察に行ってきました。そちらも例年になく少ない積雪状況にあります。現在は赤岩尾根への取り付きは末端からの冬山ルートですが、雪消えが加速すればG.W時には夏山と同じ登山口から トレースがつくかもしれません。また大谷原〜西股出合の工事用道路は現在は上部の方には積雪もありますがやはりG.W時にはなくなるものと思われます。

   とにかくどこも積雪が例年よりも少ないのは間違いありませんが、冬山に違いないこともまた間違いありません。いつもどおりに注意して登っていただきたいと思います。また雪が少ないため 今後いつも以上に樹木等が現れてきますので、どこのルートを登るにしてもアイゼンやピッケルで木々に傷をつけないよう、ぜひとも注意していただき、自然に対して優しい歩き方を心がけていただきたいと思います。


南尾根J.Pから南尾根と扇沢駅方面を見る。

同じくJ.P。右の木の黄色い看板は昨年は隠れていた。

同じくJ.Pから爺ヶ岳南峰を望む。

南峰からの爺ヶ岳稜線。まだしっかりと冬の装い。

爺ヶ岳南峰からの種池山荘への稜線。雪庇が小さい。

無事に冬越しをしてくれました。吹き溜まりになるので雪は多い。

爺ヶ岳中峰から秀麗なる双耳峰、鹿島槍ヶ岳。

北股本谷にも例年の雪の厚みはない。正面に鹿島槍鎌尾根。

赤岩尾根への取り付き、西股出合はすでに川の流れが現れている。

西股出合。西沢からの雪崩はごく最近のもの。常に注意!

NO289   いまだに信じられません。

 2007/ 4/ 11(水)

    4月9日の水晶小屋付近でのヘリコプター墜落事故におきましては亡くなられた乗客の長屋様と藤田パイロットには心よりお悔やみを申し上げます。またケガをされた全搭乗者の皆さんにはお見舞いを申し上げます。事故原因をはじめ、今回のフライトの問題点等も今後解明されていくことと思いますが、私ども山小屋経営者にとってはヘリコプターはなくてはならない最大のライフラインのひとつです。そしてフライトの際には安全が第一、最優先なのは言うまでもありません。私どもも荷上げの際には天候、時間、荷物の重量、荷物の作り方等々、どれも最大限の注意をはらってやってきたつもりです。荷上げ作業が無事終了するといつも心底ほっとします。

  そしてこれからも細心の注意をはらい、決して無理をせず荷上げやヘリコプターによる救助等にあたって行きたいものです。今はケガをされた皆さんの一日も早いご快復と、事故原因の究明と安全対策の確立を願うばかりです。 とにかく残念な信じたくない出来事でした。


雨雲の間からのぞく水晶岳(雲の平から)

野口五郎岳方面からの初秋の水晶岳

NO288   アルプス晴れの下、一年ぶりのご対面。

 2007/ 4/ 7(土)

     週末の今日、太平洋岸では満開のサクラの下、絶好のお花見日和だったとか。長野県内では松本で4/1、そして本日は長野市でもソメイヨシノが 平年より一週間ほど早く開花したようですが、ここ大町は今ひとつ肌寒い日が多い感じの4月上旬です。それでも昨日はわが家の周りでもモンシロチョウやベニシジミが舞い出し、そして今日は一年ぶりにツバメが忘れることなく里帰りしてくれました。温暖化が顕著になる中でもまだ動物たちの体内時計 が正確に動いているのにはほっとします。でも先日は大町市郊外ではやっぱり少雪暖冬の影響でしょうか。早々に子グマが保護されました。昨年秋に続いて今年も全国でクマの出没騒動にならなければいいんですが。

   今朝は北アルプスも全山穏やかな姿を見せてくれましたが、その光景も午前中だけ、午後にはあっという間に山は雪雲におおわれてしまいました。大町市内も夕方からは冷たい雨降りになってしまいました。明日は大町も県議会選挙の投票日、穏やかな春らしい天気になってほしいです が、予想はいいみたいですね。小屋開け入山までもあと二週間あまり、山の天気は一進一退、雪の日もまだまだ多い3月、4月です。かえって今冬の場合は2月のほうが余程降雪も少なく、天気も良かった感じです。このあとはゴールデンウィークにかけてどんな天気模様になるでしょうか。そろそろ気がかりにもなってくる頃でもあります。ところで小屋開けからG.W 中にかけて降雪のなかった年というのは覚えがありません。“ゴールデンウィーク寒波” といった言葉があるくらいですので、G.W登山をお考えの皆さんは直前までしっかりと天気予報と首っ引きでご判断願いたいものです。北アルプスの積雪量はいつもより は少なめの情報ですが、けっして雪の少ないことが事故の減少にはつながりません。先般4/2にも赤岩尾根で残念な滑落死傷遭難が起きています。 北アルプスはまだ完全な冬山の領域にあります。くれぐれも事故のないよう安全第一、気をつけてお願いいたします。以下写真は本日4月7日午前中。


鹿島槍北峰と東尾根核心部。

手前に東尾根、奥に天狗尾根。

爺ヶ岳と東尾根が右下へ下る

爺ヶ岳東尾根核心部、JP下部。

赤岩尾根上部と右に冷池稜線

無事の再訪もすぐに子作りへ。

NO287   大町アルペンラインは来週4月10日に開通。

 2007/ 4/ 6(金)

     昨日大町アルペンラインの扇沢方面の現地調査が実施され、当初の予定どおり4月10日に冬期通行止めが解除されて、開通することが正式決定しました。同時に黒部ダムおよび立山の室堂までの通行も同日オープンいたします。なお室堂〜美女平〜富山方面の開通はもう少し先になる予定です。扇沢駅や黒部ダム周辺も例年よりかなり積雪も少ないようです。北アルプスのトップをきっていよいよシーズンインですね。4月10日には恒例のオープンカーニバルも開催されます。


昨年はまだまだこの大雪でした。(扇沢駅 H18 4/10)

昨年はターミナルの屋根にも大量の残雪。

昨年の4/10 黒部ダムにも半年ぶりの歓声が上がる。

立山ロープウェー下の雪崩の跡にも春の到来を感じる。(H18 4/10)

NO286   春をさがしに・・・

 2007/ 4/ 1(日)

    今日は午前中、写真を撮りながら春をさがしに出かけてきました。“催花雨”や黄砂といった春の季語になるようなものだけでなく、いろいろなところで春の訪れそして冬の終えんを感じ取ることができました。おりしも太平洋岸ではすでにサクラも満開とか。 それどころか静岡では今日は31度を超えてしまい真夏日とか、満開のサクラの下で皆さん何を思いながらお花見を楽しまれたのでしょうか。大町の開花予想は平年より一週間ほど早い4月15日の予想。今年は小屋へ入山する前にサクラに会えそうです。ちなみに寒かった昨年は4月28日頃だったはずですが、大町にはその頃が一番似合っている感じがします。


ご近所でお米のモミ播きをしてました。最初の大きな作業です。我が家はJAへお願いしています。

ハウスに並べられた育苗箱はしばらくすると発芽。ひと月後の田植えを待ちます。

ザゼンソウは自ら発熱して周囲の雪を融かすと言いますが、木はどうなんでしょうか。

雪不足でたいへんだったスキー場もシーズンに終わりを告げます。

大谷原手前の人気スポット、鹿島槍ガーデンには早くも太公望が集まる。さて本日の釣果は。

我が家のスイセンも明日には花開きそうです。こちらも平年並みになりました。

NO285  春雷は文字どおりの “催花雨” に。

 2007/ 4/ 1(日)

    昨日の午後の雷雨はすさまじかったですが皆さんのお住まいの地域はいかがだったでしょうか。雨も突風も雷もいずれもすごかったですが、あまり被害が報告されなくて幸いでした。それどころか我が家の梅の木にとっては “催花雨” の言葉の如く、催促されたかのようにピンクのつぼみを一気に開花させてくれた恵みの雨になりました。そして今日は今春一番強烈な黄砂が北アルプス山麓をも襲っています。午前中はまだ見えていた北アルプスの山々も次第に黄砂の厚いベールに覆われて午後には、うっすらとおぼろげながらに見えるだけになってしまいました。3000m級の北アルプスには今年も2月からたびたび舞い降りていた黄砂ですが、広く日本中の町で観測されるようになれば本格的な春の到来ですね。こんなところにも季節の移ろいを覚えます。3月は大きな“寒の戻り” があって肌寒い日が続きましたが、今度は本物の、正真正銘の春が大町にもやって来そうです。

   3月中旬下旬は“寒の戻り” に合わせるかのように、自分自身もすっかりバイオリズムをくずしたりして、当ページの更新等もちょっと間隔も開いてしまい失礼しました。だいたいが毎年4月下旬の小屋開け入山直前のこの頃は、いろいろと考えすぎて “プチ三月病” にかかることが多いんです。昨日の春雷は、私にとっての“催花雨” にもなってくれそうです。そして月も代わって四月、新年度の始まり。元気を出して3週間あまり先にせまった小屋開け入山に向けていきたいと思います。


寒の戻りもあって、平年並みの開花に落ちつきました。

今朝の大谷原の積雪は異常に少ない15cm程度。(4/1)

布引岳に張り出す雪庇も例年の比でない小ささ。

中央に蓮華岳。まもなく水田にも水が張られます。(4/1 8:00)

黄砂にどんどん覆われる北アルプス。(4/1 12:00)

午後遅くにはまったく見えなくなってしまいました。(4/1 16:00)