NO 786 続く“大晴天”にも、先が見えてきたような・・・
2010 9/ 6(月)
9月に入っても好天が続く北アルプスです。先月の8/17から始まった今回の“大晴天”も、今日6日でついに21日目、まるまる3週間です。昨日も夕方には、雷が鳴りましたが、夕立になることはなく雨不足もほんとうに心配なくらいです。とにかくこんなに好天が続いたということは覚えがないくらいです。でもこんなに長く続いた“大晴天”ですが、いよいよ終わりも見えてきたような感じですね。いつの間にか東シナ海を北上していた台風9号が進路を東へきりそうです。9/8〜9/9にかけては台風9号の影響が多かれ少なかれでそうです。台風がこんなに東へ一気に進路を変えるのも、あれほど強かった太平洋高気圧の勢力が少しずつ衰退していく表れでしょうか。台風通過後には秋の大気も流れ込むようになり、ようやく猛暑からの脱出になるかもしれませんね。岳も一気に秋めいていくことでしょう。
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最近は朝焼けのいい日が多い。今日もみごとな雲海に日が昇る。(9/6:鳴沢岳より) |
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岳の上も今年はまだ夏の気配が濃いですが、少しずつ秋雲が目立ってきました。(9/6:鳴沢岳) |
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黒部の谷が雲海に埋めつくされるのも、秋到来の兆候です。(9/4:冷池山荘) |
▲天気
(9/6)
◎8/17からの夏型の安定したお天気が本日
9/6まで3週間続いています。ただしこの先もまだまだ雷や夕立には注意しなければなりません。
◎例年のこの季節に比べると温度高め、まだ20度ぐらいの暑い日があります。日差しも強いですので、暑さ対策や日焼け対策しっかりとお願いします。一方朝は
ようやく最低気温が10度以下になるようになってきました。Tシャツ一枚では寒い
くらいですので、薄手のジャンパーをお持ちになるか、雨合羽での代用でもOKでしょう。
◎台風9号が東進を始めそうです。9/8〜9/9にかけては影響がでそうですので注意が必要です。
◎今までも台風通過後には天気が大きく変わったことがあります。少々暑かったくらいの今夏でしたが、このあとは一気に秋めいて涼しくなっていくかもしれません。
◎NHKテレビの天気予報を見る際、北アルプス北部のお天気の目安としては、『長野』のお天気より『新潟』のお天気のほうが類似していますので、そちらを参考にしてください。
さらに『金沢』も参考にすればよいでしょう。この3箇所が晴れマークなら、北アルプス北部も大体晴れるでしょう。
▲花
◎夏のお花では、ハクサンフウロが少し残るくらいで、秋のお花が中心です。
◎オヤマリンドウ、ミヤマリンドウ、カンチコウゾリナ、ミヤマコウゾリナ、ミヤマアキノキリンソウ、ミヤマコゴメグサ、ヤマハハコ、ミヤマトリカブト、ミヤマママコナ、クロトウヒレン、ヤマホタルブクロ、キオン、ミヤマシシウド、タテヤマアザミといった秋系の花も最後の見せ場を迎えようとしています。
◎種池山荘周辺ではチングルマの綿毛が見頃をむかえ、コバイケイソウの葉は黄化し始めています。
◎コケモモ、アカモノ、ナナカマドなどの実が赤味を帯びてきています。
初秋の紅葉のトップを飾る足元のウラシマツツジやミヤマダイコンソウの葉も少しずつ赤味を帯びてきています。
◎主稜線の紅葉は今後の冷え込み次第ですが、9/25ごろから10/5ごろが見頃になるのではないでしょうか。
▲登山ルート等の状況(9/6現在)
◎鹿島槍ヶ岳、爺ヶ岳周辺は主稜線の登山道上の雪も消えて安心して通行できます。五竜岳方面も皆さん支障なく縦走されています。
◎鹿島槍ヶ岳から五竜岳の間は、鹿島槍南峰を越えると、爺ヶ岳から鹿島槍ヶ岳南峰までの間のような比較的なだらかかつ穏やかな稜線歩きとは違い、岩場が多くなり高度感も格段の違いです。アップダウンも多いので健脚者、経験者向けです。
◎柏原新道上部の“ガラバ”では落石や滑落に注意してサッと通過しましょう。
◎赤岩尾根の最上部の“馬の背”付近と主稜線に出るトラバースは転滑落に注意。また落石にもご注意下さい。赤岩尾根はやや急登ですので、下り時は一歩一歩ゆっくりと下りて
下さい。
◎種池山荘〜新越山荘〜針ノ木岳方面も登山道に支障はありません。
◎針の木大雪渓は中間帯に残雪がまだ400mぐらいに渡ってあります。心配な方は軽アイゼン、ストック等お持ちになってください。 針ノ木小屋で軽アイゼンを借りて大沢小屋で返却することもできます。下り時は転ばぬよう、またクレバス
や雪渓の崩壊にもご注意ください。
情報は針ノ木小屋や大沢小屋でお尋ね下さい。(9/8
針ノ木小屋情報によりますと大雪渓の中間帯“ノド”のあたりは残雪状態が不安定になってきたので、巻き道を通るルートにしたそうです。)
◎これからは台風シーズンにもなりますが、雨が降るとすぐに、登山道は大丈夫かと聞かれる方がおられますが、大雨が降ってもすぐに登山道の全線の状況を把握することは不可能です。登山道に被害等があったときには引き返して小屋や警察署等にご連絡くださるようお願い申し上げます。
◎大町から扇沢駅までの大町アルペンラインは大雨等の際には、事前に通行規制が行われ車両の通行ができなくなる場合があります。1時間に30ミリの豪雨が降った場合や、雨が止むことなく降り続き130ミリに達した場合が該当します。 ※こういった事前規制は北アルプス各所の登山口への車道でもあります。
▲アドバイスや注意
◎いかなる山行でもツアーであっても、各自で装備はしっかりと用意しましょう。またコースや計画の概要は各自がしっかりと理解しておきましょう。自分がどこを通ってどこへ下山するのか、
一体どのくらいの時間がかかるのかもわかってない“連れられ登山”の方が見受けられます。インターネット等だけでなく、専門家が監修したガイドブックや山岳地図等でしっかりと情報収集をしてください。
◎またインターネット等に発表される個人の山行記録はあくまで個人の記録です。誇張されたものもありますので、山行時間や行程はガイドブックや山岳地図等の平均的
かつ常識的な無理のないものを参考にしてください。
そして自分はそれらの参考タイムの1.5倍の時間でだいたい歩くとか、3割り増しの1.3倍で歩くとか、ご自分なりの係数というものをお持ちいただきたいと思います。
◎まだまだ夏山シーズン真っ盛り! 雷と夕立に注意しましょう。2時ごろまでに小屋へ到着するのが最大の安全策です。そのためにも早朝出発に心がけましょう。日中の暑さ等に対する備えもしっかりとお願いします。
日焼け止め、サングラス、帽子、水分補給等にご注意ください。
◎過去、小屋で体調を崩した方の話からも、寝不足や水分不足は登山の最大の敵といっても過言でありません。最大限気をつけ、時間に余裕を持った計画による山行をお願いします。
またゆとりあるゆっくり登山で足腰の疲労回復をすることが、下山時の転倒防止につながります。
◎北アルプスをはじめ中部山岳ではこのところ、重大事故が多数発生しています。しっかりとした計画のもとで、休憩をしっかりとりながらゆっくり慎重に下山いたしましょう。
▲混雑状況(9/6現在)
◎今週末の9/11(土)は3つの山荘ともご予約は少な目です。多くても定員の半分以下の入り込みと思われます。ごゆっくりしていただけそうです。
◎この後
混みあうのは敬老の日3連休の9/18(土)と9/19(日)になりそうです。18日の種池山荘と19日の冷池山荘はかなり混みあうものと思われます。なにとぞご予約をお願いいたします。
◎この後は週末をのぞくと平日はすいております。団体様でもないかぎりは多くても、冷池山荘、種池山荘で40人様ぐらいと思われます。新越山荘もたいへんすいております。
◎新越山荘の本年の営業は9/25(土)の宿泊までになります。
◎申しわけありませんが冷池山荘、種池山荘、新越山荘ともに個室の予約は承っておりません。宿泊状況によってはお受けできる時もありますので当日に現地にて受付時にご確認ください。
◎ご予約をお願いいたします。お客様に少しでもゆっくりと休んでいただくためにも、私どもにとっても部屋割り等でたいへん助かります。定員を超えるとお断りすることもありますが
、なにとぞご理解いただき、ご協力をお願い申上げる次第であります。
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