▲▲ 2008 / 5月 ▲▲

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NO394   夏山へ向けて、段取りに右往左往です。

  2008/  5/ 30(金)

   早いもので5月もいよいよ 終わりですね。シーズン入りを前にやらなければならないことは目白押しで、少々あせり気味でなにかと空回りです。山小屋の仕事といえば“上” の山小屋そのものでの業務が思い浮かばれることでしょうが、“下” の大町での各種段取りも大きな比重を占めます。“段取り八分” の格言どおり、シーズン入り前のこの季節はとても大事な時期です。

   そんな中先日は大町の自宅へキリンビール(株)から講師にお越しいただき、美味しい、正しい生ビールの注ぎ方、ビールサーバーの使用法、管理法を山荘スタッフに講習していただきました。生ビールを提供するようになってから10数年になりますが、このような講習は久しくやっていなかったので、目からうろこのテクニックも色々と伝授していただきました。今夏は今まで以上に美味しいコクのある生ビールをみなさんに召し上がっていただけるものと思います。今から炎天下の五竜岳〜鹿島槍ヶ岳縦走も柏原新道登りも楽しみになってきますね。生ビールの提供は冷池山荘と種池山荘において、基本的には7月中旬から9月下旬までを予定しておりますのでぜひご利用ください。ただし山の上のこと、酒屋さんも麒麟ビールも山小屋までは配達はしてくれませんので、好天続いて売り切れの節はご容赦下さいませ。そのようなことのないようにそれこそしっかりと段取りをしていきたいものです。講師でお越しいただきましたキリンビール(株)のドラフトアドバイザー日野さんと営業の松浦さんには厚く御礼を申し上げます。    山の上で飲む生ビールって、生ビールのいちばん美味しい飲み方ですね。

夏はこれ! 鹿島槍に乾杯!

プロにお教えを乞い、今夏の美味しさアップはまちがいなし。

NO393   山かけ上がる新緑。

  2008/  5/ 29(木)

   昨日はいよいよ九州南部と四国地方でも梅雨入りしましたね。昨日の日中まではさわやかな五月晴れが続いたここ大町も昨夕からは雨が 降り出しました。いよいよ北アルプス山麓も梅雨の走りでしょうか。今年の夏は巷間猛暑も云われておりますが、はたしてどんな夏になるでしょうか。いまは順調な梅雨入り、おだやかな梅雨明けを期待するのみです。雪融けが遅れ気味だった4月および5月前半でしたが、G.W後の好天と4回ほどのタイミングよく降るまとまった雨というめりはりの利いたお天気で、ここへきて一気に雪融けも加速してきました。遅れを心配していた柏原新道の開通も6月第2週の週末6/14(土)ごろ 迄にはいけそうな感じになってきました。お電話での問い合わせも多くなってきましたがもうしばらくお待ちいただきたいと思います。来週はいよいよ6月入り、そして今度の日曜日には針ノ木岳の慎太郎祭も開催されます。登山口の扇沢周辺は新緑が真っ盛り、黒部ダムへの観光客も増えてきました。


柏原新道が通る爺ヶ岳の南西斜面。まだまだ残雪多いですが、新道開通までもう少しです。

新緑の黒部立山アルペンルート扇沢駅。この時期の立山は最高でしょうね。後方に赤沢岳

NO392   “塩の道” から見る北アルプスに心いやされます。

  2008/  5/ 23(金)

   最近北アルプス山麓の旧 千国街道、別名“塩の道” を歩かれる方が少しずつ増えています。特にこの季節は、、田植えも済み早苗が風にゆれる水田には北アルプスの美しい残雪の山々が映え、山麓には咲きほこる数々の花々と新緑が色を添えてくれます。きっと残雪が創る“雪形”を探すのも楽しみのひとつでしよょうね。今年は出現が遅れていた爺ヶ岳の“種まき爺さん” も、もそんな旅人をやさしく出迎えてくれます。今日もお二人の初老の旅人にお目にかかりました。お話しをお伺いすると昨日は穂高から大町まで歩かれ、本日は大町から白馬まで歩かれるとのこと、明日は小谷村まで行かれるとのこと。昨年も塩尻から穂高まで歩かれており、次回には糸魚川まで歩かれて千国街道を踏破されたいとのことでした。74歳、同級生だった高校、大学以来60年近い親友同士だそうです。それだけでも素晴らしいですね。お話しを伺えばお二人とも山登りもお好きで以前は北アルプスのほとんどをのぼられたとのこと。埼玉県からお越しの豊田さんは甥子さんが以前北アルプスの山小屋で働かれていたそうで、私も良く存じ上げている方だったのでびっくりです。もうお一方の神奈川県の前田さんは雄大な景色、心いやされる光景にそこかしこで俳句を一句ひねるのだそうです。芭蕉気分ですね。私もお元気なお二人の姿と,日に日に形がととのってきた爺ヶ岳の“種まき爺さん” に思いを馳せつつ、数十年ぶりに一句詠んでみました。         『 健脚に  種まき爺も  背を伸ばし 』        おそまつでした。明日もお二人とも事故のないようにお元気で完歩してください。

   『敵に塩をおくる』 ということわざの由来ともなった、上杉謙信が武田信玄におくった塩の逸話が残る“塩の道” 千国街道。いつの日か登山をリタイアされた方も北アルプスを常に眼前にする、まだまだ自然豊かなこの道を歩いてみてください。山だけでなく数々の道祖神や石仏も待ってくれているはずです。        


畦にシバザクラを植える素敵な農家も。ありがとうございます。

中央鞍部に見える腰をかがめた“種まき爺さん”も日に日に大きく。

安曇野の水田はは、この時期大きな水鏡。

塩の道の探求にもご熱心なお二人。お天気にも恵まれました。

土蔵のある光景はさらにひきたちます。

NO391  6月1日(日)に恒例の針ノ木岳『慎太郎祭』。5/24(土)は白馬岳の『貞逸祭』開催。

  2008/  5/ 21(水)

   北アルプス北部に夏山シーズン到来間近を告げる、白馬岳の『貞逸祭』と針ノ木岳『慎太郎祭』が相次いで開催されます。今年は残雪もやや多めで今後の雪融けの進み具合、そして何よりも雪融けを進める入梅がどんな具合になるのか待たれるところです。新緑もどんどんと山へ山へと上がって行っています。毎年6月第一週頃の慎太郎祭の頃には、針ノ木大雪渓の下部、大沢小屋周辺でもミネザクラやオオカメノキ、ムラサキヤシオツツジなどが咲き出します。今年の北アルプス“花ロード”もスタート前夜ですね。

  みなさんも今夏の夏山登山計画立案には余念がないことと思いますが、今夏への第一歩、足慣らしも兼ねて白馬岳の『貞逸祭』や針ノ木岳『慎太郎祭』へ参加されるのも一考かと思います。それぞれ記念登山もあり、『貞逸祭』では祭典会場の猿倉から白馬大雪渓下部の白馬尻まで、『慎太郎祭』では大沢小屋上部の祭典会場から針ノ木岳峠まで希望者は登れます。参加希望の方がいらっしゃいましたなら『貞逸祭』については白馬村観光局、『慎太郎祭』については大町市観光協会のホームページをご覧ください。それぞれ北アルプス北部開拓黎明期の松沢貞逸、百瀬慎太郎をしのんで今夏の夏山スタートにしてみませんか。実行委員会の役員でもある私も慎太郎祭に今年も参加してまいります。なお爺ヶ岳の開山祭とも云える柏原新道開通は残雪も多く6月中旬以降になると思いますので、今しばらくお待ちください。春山と夏山のはざ間というべきこの時期はまだまだ残雪多く、登山道もまだまだほとんど姿を現わしておらず、道迷いや滑落事故に最大限注意しなければならない結構むずかしい季節でもあります。この時期の登山にふさわしいコース、ふさわしい山を選んで、実力に見合った山へ登っていただきたいと思います。


昨年の針ノ木岳慎太郎祭にて。夏へ向け気分もウキウキ。

祭典終了後には針ノ木峠を目指す。ワクワク気分ですね。

NO390   ガソリン代高騰の折、バスのご利用はいかが。 朗報が届きました。

  2008/  5/ 17(土)

   二十数年来のおつきあいの東京 毎日新聞旅行社のTさんから連絡があり、同社が企画する北アルプス北部の扇沢や猿倉への夜行直行バス(毎日アルペン号)が、今夏は爺ヶ岳登山口の柏原新道入口でも停車して降車できるようになり、アクセスしやすくなったのでお客様にもご紹介してくださいということでした。通常はさらに1キロメートルほど奥の黒部ダム入口の扇沢駅まで行って下車しなければならないんですが、都合よくなりました。種池山荘への到着も30分以上早くなりそうですね。今夏は最も利用者の多いであろう トップシーズン中の7/18、7/25、8/1、8/8、8/15の各金曜日に東京出発の5本の運行になりますが、ぜひ皆さんにもご利用いただきたいと思います。なおおなじみの“さわやか信州号” も7/18から8月末までの毎日と9月、10月は週末を中心に運行されます。こちらは柏原新道入口では停車せず扇沢駅のみでの下車になりますが、こちらもぜひご利用ください。なお“さわやか信州号”の関西出発便を含めて東京 毎日新聞旅行社03−3216−5341) にて予約手配できますので爺ヶ岳、鹿島槍ヶ岳登山の節はお気軽にご連絡ご用命くださいとのことです。バスの時刻表は当H.Pのコース&バス時刻表のページに掲載してありますのでご覧ください。

   扇沢出合の柏原新道入口付近は週末を中心にマイカー駐車で混み合いますので、ぜひともバスや電車、タクシー等をご利用くださるようにお願いいたします。世界的な原油高騰の折でもあり、環境的にも今年は公共交通の利用が高まり、人気が出そうですね。私どもも山小屋の発電に使用する軽油や乾燥室にも使用する灯油、さらにヘリコプターの航空燃料の高騰にはため息がでそうです。  

NO389   皆さんはご存知ですか? シルバーウィーク?

  2008/  5/ 15(木)

   小屋開けそしてゴールデンウィーク も終って一段落といきたいところですが、夏山シーズン直前の各種準備に慌しい毎日をおくっています。夏山シーズンのご予約も連日数件いただくようになってきました。今年のシーズンのお天気はどうか、雪融けは順調に進んでくれるか、登山道は大丈夫か、 燃料代やあらゆる食料品の急騰が続くことや、はたまたここ数年シーズン入りまで苦戦しているスタッフの確保が順調にいくか? 等々 心配の種はつきません。山小屋スタッフにご協力してくださる方、挑戦してみたい方がいらっしゃいましたら是非ご一報ください。当H.Pのスタッフ募集のページもご覧になってください。

   お客様の入り込みの予想もカレンダーとにらめっこです。今年は海の日3連休があまり早くもないし、遅くもないので梅雨明けの具合もありますが、最初の大きなピークにいきなりなりそうです。最近は学生さんの夏休みが始まるのが遅いようで今年も八方手を尽くしてのスタッフさがしです。最近はお客様も週末だけでなく平日にもかなり分散化していただくようになってきているのは、たいへん助かっております。皆さんはお花が咲き出す7月下旬でしょうか、入道雲沸き立つ8月でしょうか、はたまた紅葉に染まる9月、新雪の10月にご計画でしょうか。ピークハントだけにこだわるのではなくて、いろいろなシーンに出逢いに何回でもお出かけ下さい。それだけの魅力が鹿島槍ヶ岳をはじめ北アルプスには十分に備わっています。以前日本でサッカーWカップが開催された年が入り込みが芳しくなかったので、今年は盛夏に行われる北京オリンピックの動向もやや気になります。

   ところで皆さんはご存知でしょうか。来年(平成21年) の9月に5連休があることを。ハッピーマンデーの敬老の日と、祝祭日と祝祭日の間の日は休日にするといった法令の施行によって9/20(日)から9/23(秋分の日)までの4連休と9/19の土曜日を入れれば5連休になるということなんです。昨年の暮れに今年のG.Wをはじめ各種連休をチェックした際に、ついでに来年の各種連休もチェックしていたら大発見! 先般もウチのスタッフに聞いたり、山の集まりで話してもどなたもまだご存知でないようです。私の知っているかぎりではマスコミでもまったくまだ報道されていません。今から来年の9月のことを言っていたのでは鬼に笑われそうですからね。でもまたまた来年は9月のスタッフ確保にも頭が痛くなりそうです。一方山好きのみなさんにはこたえられない5連休になりそうですね。今年の山行きは来秋の5連休に思いを早々に馳せながらのウキウキした山旅になりそうですね。さてこの5連休のネーミングは何がいいんでしょうか。やっぱりゴールデンウィークにたいしてシルバーウィークでしょうか? なんたって敬老の日が入っていますから。 


“シルバーウィーク” も早い年ならかなり色づいてくるんですが。

来年は北アルプスの紅葉前線のスタートが例年にもまして気にかかりそうです。

NO388  G.Wの営業終了。柏原新道の開通を待って冷池・種池山荘は再開します。

  2008/  5/ 13(火)

   大型連休 が終了して早くも一週間。もうG.Wボケの方もおられないことと思います。みなさんお仕事に、そしてはやる気持ちは来たる夏山シーズンの到来に向かわれていることと思います。 今年のゴールデンウィークは後半を中心にお天気にも恵まれてまあまあのシリーズでしたね。鹿島槍ヶ岳及び爺ヶ岳周辺では1件の転落骨折事故があり長野県警ヘリに救助していただきましたが、他には大きな事故もなくよかったです。前半の凍結した残雪量たっぷりの雪斜面には少々滑落の心配がありましたが、後半戦は一気に温度が上がり雪も軟らかになってトレースもしっかりと付いたのが幸いしたようです。みなさん残雪たっぷりの北アルプスに大満足されての、雪焼け笑顔でのご帰還になったことでしょう。

   連休終了後には、私どものスタッフは休む間もなく新越山荘の除雪作業に赴き、小屋の屋根の上や、建物の周囲の圧雪を除去して小屋を雪の重みから開放してあげました。三ヶ所の山小屋ともに大きな建物の傷みもなく、今冬を無事に乗りきってくれました。このあとは順調な雪消え、夏山登山道の開通とともにG.W終了後は営業を中断している冷池山荘と種池山荘の6月中旬の再開、そして7/1の新越山荘のオープンへと歩を進めてまいります。5/11にも山の上では25センチほどの新雪が降りましたが、今後は 雪消えに晴れ間と強い日差しが大切なのははもちろんのこと、適度な雨が雪融けを進めていってくれます。

   5/11には私は来年みなさんに小屋で召し上がっていただくお米の田植えも終了いたしました。今春は残雪多く爺ヶ岳の雪形“種まき爺さん”もほとんど現れていない状況ですが、“種まき爺さん”と田植えの時期を話している余裕は私を含め農家の皆さんどなたも無いようです。周辺の田んぼもほぼ95パーセントは田植えも終了したようです。9月下旬に収穫したお米は、うまくいけば10月には山小屋で新米を召し上がっていただくときもあります。今秋はそのような機会がある時にはこのH.Pでもご紹介いたしますので、ベテランのみなさんでも“新米”山行にお越しください。今年も山の上でも、麓でもお天気に恵まれますように。


前半はつぼみもつかなかったテントの華もG.W後半には晴天の下一気に開花しました。

新越山荘の雪も5月に入ってからの暖かさでかなり減っていました。後方に剱、立山の勇姿。

NO387   残雪多めの今年の大型連休も、明日から後半戦スタート。

  2008/  5/ 2(金)

   大型連休のスタートは少々雪が舞ったり強風が吹き荒れたりして、鹿島槍ヶ岳登頂をあきらめられて下山を余儀なくされるパーティもあったりでちょっと残念な日もありましたが、その後は五月晴れといった快晴まではいきませんが、まあまあのお天気が続いています。ただ風の強い日が多いですので、爺ヶ岳や鹿島槍ヶ岳の主稜線上では突風でバランスを崩さないよう注意が必要です。それでなくとも今年のG.Wは主稜線帯は残雪多く夏山登山道もほとんど現れていないのでバランスを崩したり、アイゼンを引っ掛けたりして滑落をしないよう最大限の注意を払わなければなりません。

   今年の残雪の特徴は下部の沢筋がさほど雪が多くない割りに、尾根筋にはたっぷりと残雪がついていることでしょうか。また先にも書きましたが、主稜線帯の残雪の多さも特徴的です。冬 から春にかけての偏西風があまり強くなかったということなんでしょうか。爺ヶ岳南尾根は八ツ見ベンチ上部から爺ヶ岳南峰までほぼ雪がついています。また赤岩尾根は西股出合の取り付き点から赤岩尾根の頭まで 全線雪におおわれ夏道はほとんど現れていません。いずれも下山時の滑落や、視界不良時のルート見失いに気をつけて下さい。

   昨日、今日と午後はやや大気の状態が不安定気味でしたが、幸い雷雨や雷雪にはなっていません(5/2 午後4時現在)。 明日からのG.W後半戦のお天気もまあまあの予想が出ているようですが、3000m級の山岳地帯にはそれがすんなりと当てはまるとは限りません。しっかりと天候判断をしていただき、いつなんどきでも引き返す勇気、余裕をお持ちになってお越し下さいませ。また先日も3日間ほど朝方マイナス8度ぐらいまで下がり、主稜線帯の残雪はアイゼンが気持ちよく効くくらいに凍結しました。アイゼンピッケル等の冬山装備は必携です。

   写真は今週初めの残雪たっぷりの爺ヶ岳鹿島槍ヶ岳周辺ものです。ご参考になさって下さい。


種池山荘から爺ヶ岳南峰。

爺ヶ岳中峰(右)と北峰(左)。滑落注意です。

爺ヶ岳稜線からの鹿島槍ヶ岳。

赤岩尾根上部からの鹿島槍ヶ岳。

赤岩尾根最上部。トラバースする登山者が見える。