▲▲ 2004  / 11月・12月 ▲▲

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NO143 今年もあと数時間。“災”転じて福となしたい、来年こそは。

2004/12/31    あっという間の1年間。12月も師走のごとくあっという間に駆け抜けてしまいました。なかなか本格的な雪の到来がやって来なくてやきもきさせられた北アルプス山麓も、ここ数日は一日中氷点下の真冬日が続いたり、連日雪が舞い一気に雪景色へ。ようやく新年を迎えるにふさわしい光景です。南岸低気圧の通過にともなって九州から関東までの各地で積雪を記録した大晦日は大町も2 5センチほどの新雪が積もりました。雪かきに汗だくになりながらも気分は爽快です。できることならラッセルをしながら山の上で年越しを迎えたいところですが・・・ 元旦には強い冬型の気圧配置になるようなので、越年登山に出かけている方は注意して行動してほしいです。一週間前にはまだ黒い部分がやたらと目だった北アルプスは様相が一変することでしょう。

   今年は先日のスマトラ島沖大地震および大津波の未曾有の大被害まで、最後の最後まで一年を通して自然災害と天変地異におそわれた年でした。地球温暖化など何か地球の歯車が少しずつきしんでいるような気がしてならないわけですが、なんとか来る2005年は平穏無事に過ぎて欲しいものです。最後にわが山荘の5大ニュースをご紹介しますが、やはり自然災害に関したものが3つもありました。来る2005年が皆様にとって良い年になりますようご祈念申し上げますとともに、一年を通して当H.Pにお越し下さいまして誠にありがとうございました。

  1、冷池山荘の増改築工事終了、リニューアルオープン。併せて平成5年から始まった種池山荘、         

   新越山荘の改築工事を含め当初計画した“平成の大改修”の完了。

 2、7月に柏原新道ガラ場や西股出合付近での登山道の崩壊や流失災害。(復旧作業終了済み)

 3、当山域では戦後初めての落雷事故が7/25に爺ヶ岳にて発生。

 4、毎週末の天候悪化、台風襲来等とにかく恵まれなかったシーズン中の天候。

 5、中部山岳国立公園制定70周年。


きびしい環境の中での2年間の工事は充実でした。

土石流が通ったあとは深いところは4mにも。自然の力を再認識。

環境省で製作した中部山岳国立公園制定70周年のジオラマ。

今年は週末になるといつもこんな空模様。来年は週末の青空待望。

もう少しでお役ご免。1年間ごくろうさま。厳しい冬がんばって。

NO142 全国的に記録的な高温だった11月。師走に入っても暖かさが続いています。

2004/12/10  

 少し時間が経ってしまいましたが先週は赤岩尾根を登って冷池山荘まで行ってきました。取り付きの西股出合から雪があったものの、まだ雪の量は少なく、高千穂平より上で30センチぐらいの積雪、小屋の周囲で70センチ程の積雪でした。その後大町でも初積雪になった12/4から12/6にかけての雪でさらに積雪量を増したものと思います。しかし昔に比べて雪の量は少ないし、とにかく暖かいというのが実感です。いつも書くのですが寒い季節には冷え込んで雪も降ってもらわないと・・・・いろいろと心配でなりません。いまや12月は冬ではなくて秋なのでしょうか。先日の関東地方で25度を超えて夏日を記録した日、夕方のニュースの中でこの暑さをどう思いますかと聞かれた子供が、『気持ちいい』と答えていました。一方別のニュースの中では『気持ち悪い』と答えた子供がいました。正解は『気持ち悪い』ですよね。何度だったかは忘れてしまいましたが地球の平均気温が数度上昇すれば、ライチョウは絶滅するという話しも聞きました。ジレンマに落ち入ってしまいます。もうあと10日もすれば大学の冬山合宿も始まるわけですが、今年の北アルプスはどんな表情の年越しを見せてくれるんでしょうか。先日の降雪の際には鹿島槍ヶ岳に登られたパーティに残念な遭難事故が発生しました。一度荒れ始めたときの暴風雪は想像を絶するものがあることは言うまでもありません。

  今年も残すところ3週間あまり。越年登山に出かけられる方、来春に備えて体力づくりに励まれる方、今年の山行報告をまとめておられる方、どちら様も風邪など召しませぬよう師走の慌しさを乗りきっていただきたいと思います。 


雪は少ないながらも徐々に雪庇は張り出して行きます。(12/4)

冷池山荘からの爺ヶ岳。冷池は雪と氷の下です。

あっという間に立山も雪雲に飲み込まれてしまいました。

赤岩尾根最上部と浅間山遠望。

冷池山荘の冬季避難室。換気、火気、雪の吹き込み等に注意!!トイレ臭くてご免なさい。

11/29に初雪が舞った大町でしたが、12/6にはようやく初積雪になりました。

大谷原からの鹿島槍ヶ岳。下まで白くなりかなり冬らしくなってきました。(12/8)

同じく爺ヶ岳。東斜面、北斜面は雪が多いです。

NO141  小屋を閉めてもう1ヶ月。11月って早いですね。

2004/11/26  

  毎年大相撲の九州場所が千秋楽を迎える頃は、夕方5時ごろにはすっかり暗くなり雪もぱらつく日が多くなるのですが、昨年に続いて今年もあたたかな日が続いています。『岳に雪が3回降れば、次は里にもやって来る』と大町以北では言うんですが、今年はすでに11回程も降ったというのに里へは下りてきません。なかなか本格的な寒気がやってきません。今夜から南下してくる寒気団はどうでしょうか? 来週は早くも師走の入り、スキー場でもそろそろ雪のほしい時期になりました。

  先般11月19日に松本市にて槍ヶ岳山荘80周年と槍沢ロッヂ90周年を祝う会が開かれ、私もお祝いに伺いました。長い歴史の槍ヶ岳山荘にふさわしく、たくさんの山岳関係者が一同に会し楽しいひとときを過ごさせていただきました。また創業時の初代穂苅三寿雄氏(1891〜1966)のエピソードをうかがったり古い写真を映していただいたり興味深いものでした。2代目の会長貞雄さんもお元気で写真家としてもまだまだご活躍中です。3代目の康治さんも環境型トイレを北アルプスで最初に導入されるなど、今がいちばん油の乗っているときです。これからも北アルプスのランドマーク:槍ヶ岳に建つ山小屋として益々のご発展を願うばかりです。折りしも来週の12月4日は中部山岳国立公園の制定70周年にもあたります。北アルプスの山小屋の歴史や北アルプス登山の歴史も紐解いていきたいものです。さっそくいただいてきた『槍ヶ岳黎明』(山と渓谷社)を興味深く拝読しております。

 うれしい話題の一方で悲しい別れもあった11月でした。11月7日には餓鬼岳小屋のご主人:伊東宗右エ門さんが急逝されました。75才でした。同じ山小屋組合員としていろいろと教えていただいたり仲良くしていただきました。私の父親の正泰と同じく登山道の整備に一生懸命尽くされた方でした。10月の台風23号の際には登山道の沢沿いの橋が何箇所も流されたりして、さっそく修復の陣頭に立たれておられたとのこと、さぞやご無念だったことと思います。餓鬼岳は常念岳や燕岳といった人気の山々が連なる表銀座連峰にあってはいちばんの北にあり、弧高の山といってふさわしい山でしたが、道を整備され親身に登山者に接する姿勢は多くの登山者の共感を呼び、静かな山行が楽しめる山として隠れた人気の山でした。こころよりご冥福を申し上げます。


槍ヶ岳山荘3代のご繁栄も内助の功があってのことでしょう。おつかれさまです。

毎年山荘でコンサートを開く桂 姉妹の演奏や常念小屋山田社長の名調子の披露も。 

大町の街は川霧の下に。その上には真っ白な北アルプスの連山。(東山:霊松寺より)

餓鬼岳(左)と唐沢岳。亡きご主人の魂は頂に在りて我々を見守ってくれることでしょう。

ようやく川霧が切れてくると鹿島槍ヶ岳と爺ヶ岳も姿を見せてくれました。

木崎湖西側の小熊山林道より。ここからの鹿島槍を中心にしたパノラマは最高です。

爺ヶ岳もまだまだ穏かな初冬の山の風情です。本格的な冬の到来は遅れ気味です。

鹿島槍も積雪はまだ2000mより上です。本格的な冬将軍を待ち受ける雄々しい姿です。

今年は雪が遅いのでまだ道直しに出かけています。形になって残るので張り合いです。

夏は駐車車両でにぎわった扇沢登山口も、一台の車もなく静寂そのものです。

NO140  いやがうえにも天災の怖さを知らされた今シーズン、無事に終了下山しました。

2004/11/04  

  先般の新潟県中越大地震では山の上もかなり揺れました。山の上からも見える越後三山の麓であんな大きな被害が発生しているのが信じられないくらいです。 新潟県は山好きの方が多く、当山荘にも毎年おおぜいの皆さんが登ってこられます。被害に遭われた皆様には心よりお見舞い申し上げます。今シーズンは当山域でも6月下旬から7月下旬にかけて何回か局地的な集中豪雨があり柏原新道の上部や、大谷原から西俣出合の間で登山道に大きな被害がありました。7月下旬の集中豪雨の際には当山域では史上初めての落雷事故が発生もしました。シーズン中はほぼすべての週末が天候に恵まれず、ご存知のとおり大きな台風の襲来が何度もありました。目を東の空へ転ずれば浅間山の噴火による噴煙が連日のように東へ南へと流れていました。立山だって火山だということを思えば 、これまたけっして他人事ではありません。日本中のだれもが今年の続発する大天災を今は覚えているわけですが、“忘れた頃に災害はやって来る” この言葉だけは忘れないでいたいものです。あと“備えあれば憂いなし” これも大切ですね。なにごとにも活きる格言です。山の上での生活では身を持って実感いたします。

  さて当山荘でもいろいろとあった2004シーズンでしたが、なんとか無事に終了することができました。不安がうずまく入山直前の3月、冷池山荘の増改築工事と夏山の段取りに追われた4月、5月、6月、念願の工事完成に安どする間も無く夏山シーズンへ突入の7月、アテネ五輪の影響?や台風の影響がでてお客様激減の8月後半、 9月・10月もお天気はパッとせず、紅葉も今ひとつでなんか消化不良気味の秋でした。でも今年最大の目標であった冷池山荘の予定通りの無事竣工と新山荘でのお客様の受け入れをつつがなく終えることができたことがなによりでした。きっと来年以降につながっていく大きなワンステップになったシーズンだったと信じています。お越しいただいたお客様やすべての関係者・スタッフに感謝申し上げますとともに、これからもご愛顧よろしくお願い申し上げます。

  先日の雪がかなり消えた鹿島槍ヶ岳でしたが今日は一日中雪降りでした。まだ雪は少なめですが、もういつドカ雪が降っても不思議でありません。柏原新道もまもなく通行できなくなりますのでご注意を。そういえば11月7日は早くも立冬とか、ほんとうに一年って早いですね。もう来年の予約をして下さるグループもあったりで、あっという間に次のシーズンもやってきそうです。


シーズン中は玄関で見守ってくれた看板も暫しの冬眠です。

最後まで残ったメンバーも全員無事に下山。ホッとするひとときです。

扇沢周辺もカラマツの黄葉が最後を締めてくれます。

以下の写真は、小屋閉め間際の種池山荘と爺ヶ岳界わいにて。

昨夜の風雪がうそのように晴れわたった、身の引き締まる朝です。

満月も凍らんばかりの朝。

同じ朝、久しぶりにお目にかかれた冠雪の富士山。

すごい滝雲に会いました。何もかも飲み込まれそうです。

黒部を埋めた雲海が巨大な滝になって信州側へ流れ落ちます。

北側のガスが切れるとこれぞ秀麗なる双耳峰、新雪の鹿島槍ヶ岳。