▲▲ 2006  / 6月 ▲▲

(ホーム) (山荘案内) (コース) (花地図) (最新情報) (今までの情報)

NO199 空梅雨気味だった天候も、7月入りとともに梅雨本番を迎えそうな気配です。

 2006/06/30

   6/9の長野県の梅雨入り、そして6/15の北陸の梅雨入り宣言後も今ひとつまとまった雨が少なく空梅雨気味の空模様が続いた北アルプス北部です。6月最後の本日は夕方から本格的な雨降りになってきました。6月後半九州で大雨が続いたときも東日本では梅雨前線が下がったままで比較的梅雨の中晴れが続いた鹿島槍ヶ岳周辺でした。おかげでヘリコプターの荷上げも至極順調にいき肩の荷が少しおりたところです。雨でも続いてヘリが飛べず荷上げが連日順延にでもなろうものなら、私たちもヘリのスタッフもストレスがたまる一方です。このあとは梅雨前線も北上して本州上に停滞するような気配になってきましたので、ほんとうに助かりました。新越山荘の小屋開け作業をはじめ各山荘の外仕事も皆がんばってくれて大いにはかどったこの一週間でした。新越山荘は明日オープンですが、針の木岳周辺はまだ残雪多いので慣れている方が、アイゼン、ピッケル等装備しての縦走になります。

   ここ数日の好天では山荘でも15℃を超えるようになり夏の様相を呈してきました。またこれからのまとまった雨はさらに雪融けを加速してくれることでもありましょう。あいにくの雨での7月スタートになりそうですが登山道上の雪融けはどんどんと進むはずです。稜線上の大量に残雪の残るところはだいたい大きなお花畑になるところですが今年は残雪多いですのでお花畑の開花も若干遅れると思われます。8月に入っても十分に楽しめますので慌てることはありません。さあ7月、山が呼ぶ、海が呼ぶ。まだまだサッカーもですか? それにしましてもあとは穏かな梅雨空と順調な梅雨明けが望まれるところですね。

    


今朝の冷池山荘テント場の北方からの爺ヶ岳。残雪が融けるとそこはお花畑になります。(6/30)

冷池テント場から布引岳上り口までは残雪の上を歩行。残雪のてっぺんの平らを注意して歩行。

冷池テント場のナナカマドの白い花は夏の到来を知らせる。(6/30)

剱立山連峰の残雪も例年とは比較にならない多さです。残雪の魅力を満喫できます。(6/30)

冷池のミネザクラと後方には残雪の爺ヶ岳。梅雨の中晴れも今日までか。(6/30)

峠から針の木岳頂上への道はまだ残雪の下。アイゼン、ピッケル装備で注意しての登行!

6/29の針の木岳と左にスバリ岳。針の木大雪渓も雪量多く雪渓歩きを遅くまで楽しめそうです。

柏原新道のある扇沢谷もかなり雪融け進みましたが、まだ残雪多く滑落に気をつけて下さい。

扇沢駅から見る赤沢岳、鳴沢岳の峰峰。新越山荘もオープンしました。今夏はぜひ縦走を。

今週の荷上げでお世話になったアカギヘリコプターの小宮パイロットとクルーの皆さん。

ヘリコプターは登山道とともに山と下を結ぶ山小屋の重要ライフラインのひとつです。

小屋の前庭の雪もようやく消えた種池山荘へひとっ飛び。

NO198 最高気温も15度近くなり雪どけのスピードも一気に上昇中。

 2006/06/25

     6月22日の柏原新道の開通に合わせて夏山スタッフの第一陣が登ってきてくれました。雪の多さに初めての子は少々びっくりです。さいわい週末は天気にも恵まれ夏山シーズン入り最初のお客様もお迎えすることができ、無事に今夏山シーズンのスタートをきることができました。温度の急上昇と日照時間も一番長い時期ということもあり、雪どけも目に見えて進んできています。新緑も小屋周りまで上がってきてミネザクラのお花見も今がピークといったところです。稜線でもキジムシロやヒメイチゲなどが雪どけの遅れを取り戻すかのようにどんどんと咲き出しています。

    6月ももう残すところ5日間、本番突入の海の日連休までも20日間ほどになり何かと気ぜわしくなって参りました。新緑と残雪の美しさや咲き出す高山植物に目を奪われながらも、本番突入までのタイムスケジュールを忘れることなく準備に余念がないこのごろです。スタッフの人数も増えたところでさっそく新越山荘の小屋開け作業にも向かい、7月1日の営業開始にむけて新しいスタッフも含めて全員頑張ってくれています。雪に押されてガラス窓が2枚ほど割れる被害の他は大きな被害もなく予定どおりに来週にはお客様をお迎えできます。

    雪どけの遅れとサッカーWカップの影響でしょうか、夏山予約の状況も少し遅れ気味ですが残念な日本チームの予選リーグ敗退でこのあとは逆に良くなってくるのではとこちらは期待しています。そういえば当ホームページができたのもWカップの前回大会の日韓大会の直前でした。4年間なんて本当にあっという間です。このH.Pもサッカー同様いろいろとレベルアップしていかないといけませんね。


6/22には夏山スタッフの第一陣が入山。柏原新道最後の種池山荘直下。

柏原新道の“ガラバ”付近を行く一行。(6/22)

“水平道”の先“大回り”付近。スコップでカットした長いトラバース。

雪の消えた新道沿いには初夏の訪れ。ショウジョウバカマ。

冷池山荘からの残雪たっぷりの鹿島槍ヶ岳(6/24)

爺ヶ岳の北峰東面の雪はかなり少なくなりました。(6/24)

冷池の雪氷もあとわずか。サンショウウオも産卵に登場。

ダケカンバの新緑と鹿島槍ヶ岳。(6/24)

ダケカンバの新緑もまぶしい赤岩尾根の2200m地点。

こちらは赤岩尾根の最上部。着実に雪も減ってきています。(6/24)

NO197  ようやく柏原新道は通行可能へ。ただしまだまだ夏山の登山道ではありません。

 2006/06/20

   先週から種池山荘のスタッフが新道の上部から中間帯にかけての残雪帯のカット作業にあたり、ほぼ作業にめどが立ちました。作業そのものも大変危険が伴い緊張感の中での作業従事であり、スタッフの皆には感謝しております。このあと6月22日(木)には一応通行を再開いたします。ただし毎年柏原新道の開通の際には申し上げておりますが、夏山登山の際の柏原新道とはまったく違います。中間部の石畳より種池山荘までの上半分はまだ相当の部分が残雪におおわれており、あやまって転倒でもしようものなら大きな事故につながります。慣れてない方や的確な判断ができない方にはまだおすすめできる状況にはありません。とくに下りの際には最大限の注意をはらってください。このホームページを作ってからも毎年注意事項等を口を酸っぱくして申し上げて参りましたので、過去の最新情報の6月分、NO7、NO75、NO114、NO150等をご覧になって参考にしてください。種池山荘と冷池山荘もこれで営業を再開いたします。種池山荘〜冷池山荘〜鹿島槍ヶ岳の間は冷池山荘テント場の北方に大きな残雪がいつも残りますがあまり問題はありません。いっぽう赤岩尾根も最上部のトラバースのカット作業を終了しましたが途中にも何ヶ所か残雪がありますので注意して通行してください。スコップで直角にカットしたステップも雨や強い日差しであっという間に消えてしまいますので慎重な行動をお願い申し上げます。

   沖縄、奄美では本日梅雨明け宣言もでましたが、このあとは本州ではいよいよ梅雨も本格化しそうな気配ですね。梅雨末期の集中豪雨で荒れた沖縄県でしたが、梅雨明けまでの約一ヶ月北アルプスはおだやかに推移してほしいものです。海の日連休までも一ヶ月をきり、新越山荘の小屋開け、ヘリ荷上げ、水場の設置作業、登山道整備、新しいスタッフの受け入れ等々あわただしく過ぎていきそうです。

   ここへきて夏山のご予約もたくさん頂戴するようになってきました。今年は海の日連休が感覚的には一週間早い感じですので、前半戦のピークは海の日連休に集中するのではなく翌週の7月22日と翌々週の7月29日、さらには8月第一週の週末に分散するのではなかろうかと思っています。でも海の日という“ブランド”は、なかなか山では根強いものがありますので、天気でも絶好といった予報にでもなろうものならば、やはり相当に込み合うかもしれませんね。融雪の遅れでやきもきしていた新道が開けば、次はおだやかな梅雨明けがもう待たれてしまいます。雪多くまだ夏山気分にはなれませんが今夏山シーズンもよろしくお願いいたします。


赤線が柏原新道が通るライン。まだ残雪多し。(6/19)

まん中に新道ぞいにカットしたルートが見える。滑落要注意!

左の写真のカット作業の様子。確保しながらの慎重作業。

夏に最後まで雪渓残る“ガラバ”付近。150m以上のトラバース。

水平道を過ぎての“大まわり”付近。この付近も残雪多い。

残雪と新緑と沸き立つ雲に青い空。山の魅力ですね。

NO196  小屋再開はもうしばらくお待ち下さい。次週には柏原新道も通れそうです

 2006/06/13

   とにかく雪の多かった今冬、今春。そして低温傾向、日照不足、はたまた雪融けをもっとも促すまとまった雨が少ない5月後半から6月入り。なかなか雪融けのスピードが上がりません。早い年なら5月下旬、平均値でいうなら6月10日ぐらいには通行が可能になる柏原新道ですが中間帯の石畳下部付近から種池山荘直下の最上部まではまだまだ相当に残雪が残っておりまだ通行はたいへん困難 かつ危険な状況です。ところどころで夏道が現れてきて残雪の斜面の傾斜もゆるくなってくれば山荘のスタッフで新道沿いにスコップでカットする作業に入りますが、まだ危険性も大きくその状況にはありません。 ただ昨日、今日そして明日と温度も上昇傾向で雪融けにはいい感じになってきており、水平道のあたりは少し道も現れてきました。また週末にかけては雨も予想されていますので、その後にはカット作業にも着手できそうです。なんとか来週には通れそうな気配になってきました。

   電話での問い合わせでは以前には6月初旬には通れたが・・・・・・といったお話をされる方もおられますが、自然界は人間が思うようには毎年毎年うまくはいきません。ちなみに2000年(平成12年)はさらに雪融けが遅く新道が通行可能になったのは6月27日でした。これを言うなら今年はまだ早めですねといったところでしょうか。今年は7月へ入っても残雪たっぷりの鹿島槍ヶ岳や剱立山連峰を満喫できそうですのでお楽しみになさってください。

   今年も5月から6月にかけての残雪期の北アルプスではたびたび滑落事故が起きています。決して無理はせず実力にあったコースを選んでお登りください。夏山シーズン入りとは申すもののまだまだ本来の夏山とはかなり違いますので慎重にお願いいたします。柏原新道が通行可能になれば種池山荘も冷池山荘も再開いたしますので何卒ご了承下さい。今しばらくお待ちくださるようお願いいたします。     


6/3の種池山荘直下の柏原新道最上部の斜面。

6/12の同じ斜面。一週間の間に雪融けも一歩前進。

柏原新道のある扇沢谷の全貌。まだ雪多し。(6/12)

こちらは赤岩尾根の最上部のトラバース(6月上旬)

同じところを下から見る。残雪期の滑落注意。

赤岩尾根を下りた西股出合も新緑真っ盛り。

扇沢駅の駐車場の石垣に咲くキジムシロ。

“ふたり〜はニ輪草” 扇沢ではほぼピークが過ぎました。

花も葉っぱも同時のミネザクラは満開です。

“春もみじ”の赤い新芽は新緑へと変化。

大きくなると色気もないイタドリの新芽もかわいいですね。

爺ヶ岳の“種まき爺さん”はこの時期には鍬(くわ)をかつぐ。

NO195  針の木岳 慎太郎祭が行われました。来年は50回記念大会です。

 2006/06/04

   本日6月4日針の木大雪渓にてシーズン入りを祝う慎太郎祭が開催され私も安全祈願に出かけてまいりました。梅雨入り前の晴天の下、老若男女250名余が参加されました。蓮華岳に奥宮がある地元の若一王子神社の神主さんにより神事が執り行われ夏山シーズンの安全を祈願いたしました。神事のあとには地元大町登山案内人組合のガイドの下、針の木峠への記念登山も行われ、100数十名の皆さんがまだまだたっぷりと残る残雪のなか無事登頂され、初夏の北アルプスを満喫されました。

   針の木小屋と大沢小屋を開設し大町登山案内人組合を創設した百瀬慎太郎の遺徳をしのんで始まった慎太郎祭も今年で49回目、来年は節目の50回記念大会になります。来年はぜひ皆さんもご参加くださいませ。

   針の木雪渓も北アルプスの他の山域と同様に例年にない残雪の多さでした。いつもならこの時期は小屋周りの残雪がほとんどない大沢小屋(1700m)でもまだ1メートル以上の積雪がありました。この分でいくとかなり遅い時期まで雪渓歩きを楽しめるのではないでしょうか。なれてない方は軽アイゼン等おすすめいたします。残雪の多さでシラネアオイも今年は見られませんでした。お花も遅くまで楽しめそうですね。   


夏山シーズン事故がありませんように。

後方には爺ヶ岳が聳える。

記念登山は峠を目指して出発。

充実の大雪渓歩き。針の木岳とスバリ岳。

こんなに残雪多い大沢小屋ははじめて見ました。

ミネザクラは例年どおり咲き出してます。

NO194  来週には梅雨入りの予想も。雨が雪融けを加速してほしいものです。

 2006/06/03

   昨日柏原新道の様子を偵察しに途中まで登ってきました。ケルンまではほぼ雪も消えて無難に行くことが出来ますが、ケルンを曲がったところから先はほぼ全線が残雪の下に埋まっている状態です。現時点ではとても登れる状況にはありません。滑ったら重大事故につながります。例年にない残雪にくわえ5月下旬からまとまった雨にならない、いまひとつ温度低めでしかも陽射しが弱いといったことで、どうも雪融けのスピードが鈍り加減です。それでも石畳から水平道そして石ベンチあたりにかけてもかなり木々の黒い幹が見えてきています。このあとはその黒い点が黒い面へと大きくなってくれるのを待つばかりです。そのためには強い陽射しもそうですが、それ以上にまとまった雨がほしいところです。扇沢からチェックしてガラ場から先の登りや水平道辺りの登山道が途切れ途切れにでも見られるようになれば、私共もスコップでステップをカットする作業に入るのですが・・・現状では6月15日開通はなかなか難しい感じです。とにかく梅雨入りに期待したいものです。どちらにしましても6月下旬には大丈夫と思いますので、計画されている方はいましばらくお待ちになってください。それまでは残雪の心配の少ないコース、山域へおでかけください。

   昨年は大当たりの年だったシャクナゲの仲間は今年はどうも今ひとつの感じです。紅葉坂のシャクナゲは花の数がかなり少なめです。中にはまったく花もツボミもつけてない株も目立ちました。タムシバやムラサキヤシオツツジはなかなかいい感じです。昨年は山麓の高瀬渓谷や鹿島谷で大当たりだったコブシでしたが、今年はまったくといっていいぐらいに山麓では咲きませんでした。コブシとすごく似ているタムシバですが、こちらは今年も昨年に続いて山の上ではいいようです。タムシバやムラサキヤシオツツジはほんとうに清潔感あふれる清楚なお花です。気持ちが安らぎます。


ケルンを過ぎるとご覧のとおりです。

ケルンの先。ブナ曲がりからはべったり。

種池山荘直下の雪面。新道まだ現れず。

水平道からガラ場にかけて。新道見えず。

ケルンから針の木岳方面。

新芽ほころぶ。後方に蓮華岳。

見飽きることのない清楚なタムシバの花。

ショウジョウバカマは毎年一番に開花。

ひっそりと咲くイワナシの花。

今年はシャクナゲはひと休みのようです。

中央を右へと下る赤岩尾根もまだまだ雪多し。

新緑と残雪の鹿島槍。最高の組み合わせ。

NO193   平成新山(溶岩ドーム)を目の前に雲仙普賢岳に立つ。

 2006/06/02

   福岡県北九州市にある『九州と信州の会』の主催で第8回の『北アルプスの魅力を語る集い』が5月29日に小倉にて開催され、私もお招きにあずかり白馬山荘の松沢さん、燕山荘の赤沼さん、槍ヶ岳山荘の穂苅さんとともに参加させていただきました。毎年福岡県を中心に北九州地方や山口県から300人近い大勢の登山愛好者がお見えになり盛況な会です。 近年は私共の山小屋でも以前とは比較にならないぐらいに九州からのお客様が増えており、九州地方の皆さんの北アルプスへの思いの強さをひしひしと感じております。 今夏も遠く九州からのご来荘を心よりお待ち申し上げます。

    この催しには私もここ5年ほど参加させていただいております。ちょうど夏山シーズン入り前の何かと慌しい時期でいつもとんぼ返りで翌日には慌しく戻ってくるといった状況でしたが、せっかく遠く九州まできてとんぼ返りではあまりにもったいなく思うようになり昨年は以前からずうっと見てみたいと思っていましたミヤマキリシマに会いに翌日は久住岳へ行ってきました。あこがれのミヤマキリシマは期待に違わぬ 可憐さで長年の夢がかない大感激をいたしました。長者原から周囲の山をぐるっと見渡すとそこかしこがピンクに染まり、あれがミヤマキリシマかと思うだけでもぞくぞくしたものです。今年 はそのミヤマキリシマに会いに雲仙へ行ってきました。諫早でレンタカーを借りて雲仙温泉へ向かう途中の千々石町では偶然道路沿いに見つけた一帯の棚田を見て心動かされ1時間 半も付近を散策するといった突然の計画変更もありました。日本の原風景を見るような石垣の棚田をまわるにつれ、管理のご苦労を思わざるをえませんでした。いつまでもこの素晴らしい農村文化ともいえる立派な棚田を守っていっていただきたいものです。 また日本で一番最初に国立公園に指定されたという雲仙ですが、雲仙温泉もなかなか風情のあるいい感じの温泉でした。いつの日にかゆっくりと湯治に訪れたいものです。 さて仁田峠で車を降りると一面のミヤマキリシマです。しかし何か植栽されたような感じでどうも1年ぶりの対面もいまひとつピンときません。やはり山好きの者にとっては自分で歩いて、登って 、額に汗して目にしたものでないと感激の度合いが違います。私共の山小屋へ登ってこられるみなさんの思いがよくわかりました。 やはり“高嶺の花”は高嶺にあってこそ、その輝きは増します。

   仁田峠からは妙見岳、国見岳、そして雲仙普賢岳と縦走して往復してきました。妙見岳へと登るにつれて今が満開のピンクのミヤマキリシマがそこかしこに咲き誇り、私のいらぬ心配も吹き飛んでしまいました。さらに妙見岳の稜線や国見岳は全山ピンクに染まり心満たされる稜線歩きになりました。 登山道は結構険しい箇所もあったりで距離的には短いのですがなかなか面白みのあるコースでした。ほぼどの地点からも1990年(平成2年)11月の水蒸気爆発から始まって1996年の活動停止まで激しい火山活動をくり返して出来上がった平成新山(溶岩ドーム)を間近に見ることができました。噴火活動開始時には普賢岳(1359m)よりもはるかに低く火山湖や普賢神社が建っていたという火口原は何個もの溶岩ドームの形成と崩壊を繰り返しながら普賢岳よりはるか高く、最終的には200mも隆起して標高1482mの平成新山へと変貌したのです。間近に見るその姿には畏敬の念を覚えます。溶岩ドームには所々うっすらと緑が広がってきているのも見えました。次に来る時にはさらに木々におおわれた穏かな平成新山であることを願いつつ頂上を後にしました。

   下山後は車を島原市へと走らせましたが、眼前に聳え立つ平成新山を見ていると当時のテレビ映像が思い起こされ身震いするほどです。ほんとうにすぐ目の前の山です。数年にわたって火砕流や土石流の恐怖と対峙し続けた山麓の皆さんの思いというものは想像を絶するものだったことと再認識いたしました。おりしも明日6月3日は平成3年の大火砕流発生から15周年になります。山麓の復興および復旧は相当に進んでおりましたが、『天災は忘れた頃にやってくる』の格言どおり、あの噴火の歴史や災害への認識等は絶対に忘れてはならないことだと私自身も肝に銘じて島原を後にいたしました。北アルプスでも過去に幾多の災害や被害もありました。自然災害による遭難も後がたちません。やはり山や自然が抱えるエネルギーというものは私たちが到底及ばないものであることは間違いないようです。


雲仙へ向かう途中の千々石町には見事な棚田が広がっていました。

大感激の一帯の棚田でした。いつか稲穂ゆれる秋にも訪れたいものです。

雲仙温泉にある地獄めぐりもまた楽しい。湯の花がいっぱいたまっていました。

雲仙妙見岳の立派なミヤマキリシマ。長崎ではウンゼンツツジと呼ぶのだそう。

ミヤマキリシマ咲き誇る妙見岳稜線からまるい頂上の国見岳へと向かう。

雲仙普賢岳へ向かう途中からミヤマキリシマでピンクに染まる国見岳を見返る。

妙見岳稜線から一番奥に平成新山(溶岩ドーム)と手前に雲仙普賢岳。

国見岳頂上からの平成新山(溶岩ドーム)がいちばんどっしりとした感じだった。

一番高かった雲仙普賢岳(道標)をはるかに追い越す姿におさまった平成新山。

所々から小さな煙が上がるものの、当時からは想像できないおだやかさだ。

島原市側からの平成新山。山麓には砂防ダムが連続して土石流から街をまもる。

火砕流の通った跡も緑化工事が進み、点在する巨大な火山岩が面影を残す。